閉校計画への疑問

私達、若宮を守る会が『なぜ結成する事になったのか?』『なぜ若宮商業の閉校計画に反対してきたのか?』をご説明いたします。

名古屋市教育委員会が提案した若宮商業閉校計画

2017年8月31日 市議会教育子ども委員会において正式に計画公表

8月26日にマスコミに先に報道される形となりましたが、5日後の8月31日に名古屋市教育委員会(以下 市教委)が公表した「魅力ある市立高等学校づくり推進基本計画(第2次)(案)」の「市立高等学校の再編」の項で、若宮商業高校の閉校が提案されました。


閉校の理由は主に以下の2点。

・少子化による学校数の再編

 名古屋市の少子化問題を1つめの理由とし「20年後には中学校卒業生が3500人減少する」と説明


 以下グラフは市教委が公表した「魅力ある市立高等学校づくり推進基本計画(第2次)(案)」に記載されていた市内中学校の卒業生徒数の推移のグラフです。*単位は人

・商業高校のニーズの低さ

 商業高校のニーズの低さを2つめの理由とし「商業科は他学科に比べニーズが低い状況が長年続いている」と説明


 以下グラフは同資料に記載されていた学科別希望者の割合の推移(市立高校関係分)です。

閉校計画への疑問

疑問1:名古屋市の少子化問題

全国的に少子化問題はありますが名古屋市では現在以下のような状況にあります。

・少子化による子供の減少は止まっている
・15歳以下の人口は特に大きな減少は無く各年齢2万人弱でほぼ横ばい
・名古屋市へ転入する若者が増えている。将来の子育て世代となる20歳前半が特に多い


下に示すグラフは、5年毎の市内中学校卒業生の人数の推移(平成34年以降は予想値)と、平成29年4月現在の年齢・人数を比較したものです。

平成29~平成39年までは、現年齢人数と予想値に大きな差はありませんが、平成44年では、現年齢0歳世代が中学校卒業時に2,400人程度減少すると市教委は予想しています。さらに、現時点で生まれていない平成49年の中学校卒業生人数は、もっと減少すると予想しています。平成44年以降の人数減少は何が根拠となっているかが明確ではなく、疑問が残ります。

疑問2:商業高校のニーズ

普通科や他の専門学科と比べニーズが低いという相対的なデータが出されたものの、愛知県では、商業高校卒の求人需要は高い水準を保っております。若宮商業に関しても企業からの信頼も厚く、ここ2年間で求人数が倍近くに増加している状況もあります。

また、今月(平成29年12月)発表された第2回進路希望調査では第一志望者数が定員に対し132%となりました。(第二志望者数も合わせた倍率は259%)

以下のグラフは愛知県内商業高校の募集人員に対する志望者数を表したグラフです。商業科は普通科や他の専門学科に比べてニーズが低いという事が閉校理由の一つと市教委から出ましたが、愛知県内全ての商業高校で第一および第二志望者数の合計が募集人員を上回っています。ここでも市教委が示す閉校理由に矛盾が生じています。

以下の地図では愛知県内の各商業高校の位置に色のついた円で前述の第2回進路希望調査での定員と第一志望者数の割合を表しております。

<募集人員/円の大きさ>

100人あたり2km

<第一志望者数の割合/円の色>

100%以上/青、90%代/緑、80%代/オレンジ、70%代/赤

愛知県南部の商業高校は定員が320人や280人といった学校が多く、広い地域をカバーしています。

若宮商業は交通の便が良く、緑区・南区・天白区の他、港区などからも通学する生徒がいます。名古屋市内の南部を広くカバーしていることがわかります。定員が240人だった時点でも前述の第一志望者数が定員に対し100%を超えていました。しかし2017年11月9日に平成30年度の公立高等学校の募集数が発表になり、定員が200人に減少しさらに変動することになります。

疑問3:交通の利便性

若宮商業は天白区に位置しています。場所は緑区や南区にとても近い場所にあり瑞穂区、港区、昭和区も加えた名古屋市内南部・中東部エリアからの自転車通学はもちろん、地下鉄桜通線 野並駅から徒歩6分と非常にアクセスが便利な立地となっています。

若宮商業が閉校となると、このエリアに通いやすい商業高校がなくなってしまう結果となります。

以下の地図では愛知県内の各商業高校の位置から自転車通学可能圏内(4km)を円で表しております。

名古屋市教育委員会の説明

関係者には一切相談が無く、8月31日に教育子ども委員会で突然の公表となった若宮商業閉校の発表と理由。
議会の全会派から異論が出続ける形となったようです。

その後、9月19日に行われた市議会の議案外質問と翌20日教育子ども委員会で市教委の教育長は「市立高校全体の将来像について、(若宮商業の閉校は撤回しないが)いったん立ち止まり、改めて丁寧に議論する」と答弁。

9月23日、若宮商業にて教育長欠席の上で保護者向け説明会が開催されるも、保護者からの意見に対し「持ち帰って議論する」という返答があるだけでした。

11月26日には若宮商業にて同窓会向け説明会(こちらも教育長欠席)が開催されましたが、満足のいく回答は得られませんでした。市教委は「有識者懇談会を設けたので、そちらで出た意見をもとに検討していく」と発言しており、今後の有識者懇談会の議論の行方が注目されます。

「若宮を守る会」の活動

平成29年9月初旬、この計画に疑問を持った保護者・同窓生等が集まり、「若宮を守る会|若宮商業高校の存続を求める有志の会」を発足しました。

今の若宮商業にいる在校生や商業高校へ通いたいと考える中学生、さらには若宮商業の生徒たちを毎年のように雇用してくださっている企業の皆様、そして若宮商業や生徒たちを応援してくださっている地元の皆様に、何も出来ないまま若宮商業閉校の発表をただじっと待つだけの姿を見せるわけにはいかないと私たち「若宮を守る会」は出来ることからアクションを起こす事にしました。そこで今、私たちは以下の活動を行っております。

・若宮商業が置かれている現状をたくさんの人に知ってもらう

若宮商業の同窓会生(卒業生)でもまだこの発表を知らない方、計画の内容を知らない方も多くいます。
知らない方達を関心がないと扱われてしまう事が無いよう、まずはこの事実を広めるためホームページ、Twitter、Facebook、Instagramを使って情報や活動を発信していきます。

・署名活動を行い若宮商業存続の声を閉校の決議に関わる人達に届ける

商業高校の他学科に対する相対的なニーズの比較で決めるのではなく、若宮商業の存続を願うたくさんの人々のニーズから、計画の見直しをしてもらえないか?という声を届けていきたいと考えております。